疑問詞(+格助詞): × + と(も)なく
動詞 :原形 と(も)なしに
良子:近所に中国帰国者の方が引っ越してきたの。
李 :言葉で困ってるだろうなあ。
良子:ええ、でも子供たちって二カ月もしないうちに話せるようになって、今では親の通訳をしてるんだって。
李 :子供というのは、語学の天才だね。誰から習うともなく言葉を覚えてしまうんだから。
「〜と(も)なく/〜と(も)なしに」は疑問詞(疑問詞+助詞)につくときは、「<いつ・どこで・誰が・何を>かよくわからないが、〜」という不確かさを表します。また、感覚・知覚・思惟などを表す動詞 を反復し、「見るともなく見る/聞くともなく聞く」のように「〜しようというつもりはなく、ただ、なんとなく〜する」という無意識で行われた動作を表します。日本語の不作為・無意識の行為を表す代表がこの「〜ともなく/〜ともなしに」だと言えるでしょう。
1.彼は夕焼けの空を見るともなく、ただぼんやりと見つめていた。
2.電車の中で聞くともなしに隣の女子高校生たちの話を聞いていたが、余りのどぎつさに唖然とした。
3.読むともなく週刊誌をめくっていると、なんと昔なじみのA君のことが載っているではないか。
4.どこからともなくいい匂いがしてきた。
5.誰言うとなく、彼のことを阿Qと呼ぶようになった。
1) (聴く/聴いた)ともなしに(聴いた/聴いていた)有線放送から、昔懐かしい歌が(流して/流れて)きた。
2) 彼は誰に語る( )もなく「さようなら」とつぶやく( )、まるで風の(如し→ )、どこ( )ともなく去って行った。